「博多・天神で街が生まれ変わる瞬間に立ち会う—福岡市中央区の解体現場日記」
福岡市の中心、博多駅と天神周辺では、街の景色が日々大きく変わっています。高層ビルや商業施設の建設に伴い、古い建物や商店が少しずつ姿を消していく様子は、まるで街そのものが生き物のように呼吸しているかのようです。私は中央区にある解体業者、エコゼット株式会社の社員として、現場でこの変化を肌で感じながら仕事をしています。今回は、解体現場のリアルな日常や、人間味あふれるエピソードを交えながら、福岡の街がどう生まれ変わろうとしているのかをご紹介します。
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博多駅前の朝、現場が動き出す瞬間
私たちの一日は、早朝の朝礼から始まります。作業内容の確認、安全点検、周囲の交通や通行人への注意事項の共有など、30分ほどかけて丁寧に行います。博多駅前は九州の玄関口で、通勤・通学の人が次々と行き交います。そのため、作業を始める前に歩行者や車両の動線をチェックすることは欠かせません。
ある朝、通りかかった小学生が手を振ってくれました。「おはようございます!」と返すと、子どもたちの笑顔が現場全体に温かい空気を運んでくれます。こうした小さなやり取りは、重機や埃に囲まれた現場に、ほっとする瞬間を与えてくれます。
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解体作業の裏側—仲間とのチームワーク
博多駅前の古いビルを解体する作業では、重機を使った解体や手作業での分別作業などが同時進行します。社員同士で声を掛け合いながら、「そっちの柱、今どけるよ」「重機の動き注意!」と連携を取り、安全に作業を進めます。時には重機の音で聞こえにくくなることもありますが、アイコンタクトや手振りで意思疎通を図るのも日常の一コマです。
昼休憩には、近隣の商店街でランチを取ることもあります。「このおにぎり屋、実は解体したビルの裏手にあったんだよ」とか、「この店の味噌汁、前からファンだったんだ」と笑いながら話す時間は、現場での緊張をほぐしてくれます。仲間と笑い合える瞬間があるからこそ、私たちは安全第一で集中して作業に臨めるのです。
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天神エリアの再開発と安全への配慮
天神も博多同様、再開発ラッシュが続くエリアです。商業施設やオフィスビルの建設に伴い、古い建物の解体が必要になります。天神は観光客や買い物客で日中は混雑するため、作業スケジュールの調整や安全対策は非常に重要です。
解体現場では、粉塵や騒音を最小限に抑える工夫も欠かせません。廃材はリサイクルできるものを丁寧に分別し、資源を無駄にしないよう心掛けています。また、通行人に危険が及ばないよう、作業区域をしっかり囲い、誘導員を配置して安全管理を徹底しています。
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街の変化を見届けるやりがい
解体作業は地味に見えるかもしれません。しかし、古い建物が取り壊され、新しいビルや広場が姿を現す瞬間に立ち会えるのは、解体業者の特権です。ある日、長年営業していた古い商店の解体現場では、近隣の方々が「ありがとう」と声をかけてくれました。その言葉は私たちにとって、ただ建物を壊すだけではない、街の未来を作る仕事をしている実感を強く与えてくれます。
また、社員同士で作業後に「今日も無事に終わったな」と肩を叩き合う瞬間も、解体業ならではの達成感です。重機の轟音や埃の中で働く毎日ですが、笑顔や感謝の声があることで、現場は温かい場所になります。
