鉄骨だけ取ってー!!は甘かった
タイトル:
「鉄骨だけ取って〜!」に潜むワナ。解体屋のGW直前ミッション失敗談。
こんにちは、福岡市中央区にある解体業者・エコゼット株式会社のスタッフです。
今回は、「ゴールデンウィーク直前にあった、ちょっとした解体依頼…のはずが、まさかのお断り!?」という、少し残念だけど大切なお話をさせていただきます。
■ 「鉄骨だけサクッと取ってくれん?」から始まった物語
ある晴れた4月の終わり。空は青く、どこか浮かれた空気が街を包み始めた頃。
そんなタイミングで、小倉北区のお客様から一本のお電話をいただきました。
「あの〜、立体駐車場なんですけどね。中の鉄骨だけ、取ってもらえませんか?」
ふむふむ、なるほど。
聞けば、建物はそのままで、中に組んである鉄骨構造体だけ撤去したいというお話。
正直、解体屋としては「よくある話」です。
「鉄骨だけなら簡単そう」「外壁も壊さなくていいなら楽そう」
…って思われるかもしれませんが、現場を見に行ってみると、様子がちょっと違う。
■ 現場には“輝く鉄骨”が…いや、オイルまみれの鉄骨が!
さっそく現場確認。
立体駐車場の中に案内されると、そこにはピカピカに光る鉄骨群が…!
「ん?やけに光っとるな?」と思いながら近づくと、なんと全体にオイルがベットリ。
しかもサラダ油レベルじゃない。
工業用の高粘度オイルがしっかりと塗られていて、まさに“滑る滑る、燃える燃える”。
■ 火花が命取り。「火気厳禁」が鉄のルール
解体で鉄骨を切るときには、通常ガス切断(トーチ)やグラインダーといった火花が出る道具を使います。
でも、そこにオイルが染み込んでいたら…?
はい、想像してみてください。
「ボッ」と炎があがって、「アチチ!」どころじゃ済まない。
一歩間違えれば火災、そして事故です。
お客様からすると、「たった鉄骨を切るだけでしょ?」というお気持ちもよく分かります。
でも、プロの解体業者として、「事故のリスクが1%でもあるなら、それは0にしなければいけない」のです。
■ 安全第一は、やっぱり正義。
結論から申し上げますと…
今回の案件、泣く泣くお断りさせていただきました。
もちろん、全ての仕事を受けたいし、信頼を無駄にしたくない気持ちもあります。
でも、「できません」もまた、プロの判断なんです。
お客様に事情をしっかり説明すると、少し驚かれた様子でしたが、
「なるほどね、安全第一だもんね」とご理解いただけました。
いや〜ほんと、ありがたい。
うちの職人たちも、「あの現場、火花飛ばしてたら今ごろ焼き肉状態やったな…」なんて冗談言いながら帰ってきました。
■ 実は“部分解体”こそ慎重に。
こういった「全部じゃなくて、ここだけ壊してほしい」という部分解体の案件、実は意外と多いです。
でも、部分解体こそ難易度が高く、安全管理や工程の工夫が求められます。
建物の構造を壊さず、周囲に影響を出さず、しかもスピーディに…
正直、**全解体のほうがよっぽど楽!**というケースもあるくらいです(笑)
■ 最後に:見えない危険を見抜くのがプロの目
私たちエコゼット株式会社は、日々さまざまな解体現場に向き合っています。
壊すだけの仕事じゃありません。
「何を壊すか」よりも「どう安全に壊すか」「誰もケガをせずに終えるか」を常に最優先に考えています。
今回のように、お断りをすることもありますが、それは決して逃げたわけではありません。
むしろ、「その判断が後々大きなトラブルを防ぐ」
そう信じて、今日もヘルメットをかぶって現場に立っています。
■ 追伸:GWはしっかり休めました(笑)
ちなみにこの現場、GW直前だったこともあり、スケジュールはかなりタイト。
でも、無理せず断ったおかげで、スタッフ一同、事故もなく無事に連休を楽しめました。
焼き肉も食べられたしね!(鉄骨じゃなくて牛肉で!)
■ おわりに
解体工事って、表面だけじゃ見えないドラマがたくさんあります。
「壊す」というより、「守るために、あえて壊す」という場面もある。
そんなプロの目線を、これからもブログでゆる〜く、でも真面目にお伝えしていきます。
次回もお楽しみに!
